2017年4月2日 ポートメッセ名古屋
五花八門 ポスター09 / オーラル06(プレゼン発表14時40分~15時)
こんにちは、上條です。
明日の幻想郷フォーラムについていろいろとお知らせいたします!
今回はポスター参加とオーラル参加の2つに五花八門は出ますので、ぜひお越し下さい。
なお、当サークルの新刊は今回ありませんが、東方考察合同に「【書評】久樹輝幸 著『東方コミュニティ白書2016』」という論考を寄稿しました。是非ご覧になってください。
■ポスター09
『東方オンリー即売会統計と経済分析』
※現物のデータです。当日はこの掲示を使った解説と議論を楽しみに、お待ちしております。
■オーラル06
『東方界隈考察の視座~「コミュニティ論」再考~』(14時40分~開始)
(以下、発表要旨集掲載文より)
(1)概要
本報告では、東方界隈考察の基本的な視点を確認し、近年の東方ジャンルの変化を解釈する仮説として東方ファン・ネットワークを検討する。現在、標準的な分析視覚として用いられる東方コミュニティ論を下地としつつ、最新の統計データやトピックを観察することで、東方界隈考察が新たな広がりを持ち得ることを検討する。
(2)東方コミュニティ論の基礎知識
東方コミュニティ論は、東方界隈考察のための方法のひとつである。その骨格は、マクロ経済統計とジャンル構造理論に集約される。久樹(2010)に代表される統計データは、東方コミュニティが急激な拡大とゆるやかな縮小を経験したことを示している。また、東村(2012)は東方ジャンルの特徴として、ファンによる自給自足的消費構造の存在を指摘している。東村の議論からは、ファン同士が直接作品をやり取りする場である同人誌即売会が、東方コミュニティの中核的な機能を担っていることがわかる。
(3)変わりゆく東方ジャンル構造
統計データからは、東方即売会サークル数と書店委託作品数の傾向が概ね一致している。これは即売会を中核に据えるコミュニティ理論を支持している。一方で、SNSの動向を示すPixivワンドロ作品投稿数は異なる動きを示しており、既存のコミュニティとは異なる、個人ネットワークを単位とするファン活動拡大を示唆している。
(4)東方ファン・ネットワークの捉え方
既存コミュニティと個人ネットワークを合わせたファン活動全体を、東方ファン・ネットワークとみなし、現状を解釈する。コミュニティと比べ個人ネットワークはファン独自の情報共有力が弱いと考えられ、ゆるやかにつながる東方ファンへのアピールが重要である。ここからは、当事者自身の変化として説明されてきた、原作サイドの情報発信強化・一部東方オンリー即売会の総合イベント化などの現状に、合理的な説明を与えることが可能になる。また、大学東方サークルの急増からは、個人ネットワークだけに満足せず、新たなコミュニティを求める東方ファンの姿が浮かび上がってくる。
(5)結び
東方ジャンルの現状を、既存コミュニティ外の領域が拡大している、とみなすことによって、近年の東方界隈のトピックを多面的に理解できる。これは、長期にわたって変化と適応を続けてきた、東方ジャンルだからこそ可能な議論である。
※発表は15時までの予定です。その後、ポスター09五花八門スペースでアフターセッションとして、オーラル発表に関する質問を受け付ける予定ですので、お気軽にお越し下さい。
■既刊の頒布
・東方イベント10年史初版(1,000円)
・例大祭-紅楼夢関係の再編(コピー誌,200円)
・同人誌即売会の規模決定メカニズム基礎編(700円)
・同人誌即売会の規模決定メカニズム応用編(800円)
・同人経済学概論Ⅰサークル活動の経済原則(700円)
・同人経済学概論Ⅱ取引秩序の形成と価格理論(600円)
・同人経済学概論Ⅲ同人経済活動のマクロ構造(800円)
※最後の3冊です。
以上、幻想郷フォーラムではいつも以上に盛りだくさんの五花八門をよろしくお願いします!